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新しい喫食提案~豆菓子とワインのマリアージュ

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本記事は㈱フードニュース、㈱山星屋のオウンドメディア「お菓子と、わたし」、国分グループ本社㈱の同「ぐるっぱ」の合同企画です。ライターウジリィが選定委員会のメンバーとして参加しており、3社からお菓子とお酒の相性について様々な観点からご提案出来ればと考えています。なお内容についてはフードニュース社HPからの転載となります。フードニュース社HP:https://foodnews-inc.jp/

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酒類

お菓子とワインのマリアージュ選定委員会


Y(山星屋代表):「お菓子と、わたし」編集部 兼 ライター

K(国分グループ本社代表):酒類全般&チェアリング愛好家。日本ソムリエ協会(J.S.A.)ソムリエ/SAKE DIPLOMA

F(フードニュース代表):弊誌編集部。ワイン&音楽愛好家。日本ソムリエ協会(J.S.A.)ワインエキスパート、J.S.A.ワイン検定ブロンズクラス・シルバークラス認定講師

第6回 白ワインと好相性続出! 豆菓子の新たなアピールに大きな期待


スタートから約1年、第6回目を迎えた不定期連載企画。従来の“セオリー”に囚われず、お菓子とワインの新しい組み合わせを探っていくこの企画では、今回、比較的購入者層が高いイメージの豆菓子とワインのマリアージュを試してみた。市場のデータによると、家飲み需要が一段落したことや、小売業PBの強化により、対前年比ではNB商品の売上がやや減少している豆菓子カテゴリー(山星屋調べ)。ワインとの組み合わせについては、オールマイティなマリアージュが成立する商品もあり、好相性を多く発見。「お菓子と、わたし」(㈱山星屋)や「ぐるっぱ」(国分グループ本社㈱)の担当者も、実施前の予想を覆す“意外性”に驚くとともに、あまり開拓されていない豆菓子とのマリアージュに新たな可能性を見出した。同カテゴリー商品を提案するシチュエーションだけでなく、インバウンドを想定したアイデアも。柿の種やアソート商品など幅広く揃えて検証した結果、予想していなかった組み合わせが見つかる、内容の濃い座談会になった。

今回用意した「豆菓子」のご紹介


■豆菓子
01.亀田の柿の種
02.つまみ種
03.柿の種わさび(以上、亀田製菓)
04.でん六豆
05.ポリッピーアソート(以上、でん六)
06.三幸の柿の種梅ざらめ(三幸製菓)
07.いかピーナ
08.グリーン豆(以上、春日井製菓)
09.味ごのみファミリー(ブルボン)
10.miinoそら豆しお味(カルビー)

今回用意した「ワイン」のご紹介


■ワイン
A パスクアPLAI トゥールビヨン ソーヴィニョン・ブラン主体(白・発泡)
イタリア アルコール度11%
立ち昇る気泡が真珠のように輝き、高貴な“気品”を印象づける、やや甘めの微発泡ワイン。ヴェネト州北東部で栽培されたぶどう3種のブレンドにより、爽やかさとまろやかさが両立し、ベタつきのない甘さを実現。食前酒に最適

B ロシュ・マゼ シャルドネ(白)
フランス アルコール度12.5%
フレッシュなアーモンドや洋ナシのアロマが印象的な南仏・オック地方産の辛口。樽香やヴァニラのニュアンスも感じられ、酸はやわらかく口当たりはメロウ。同時に躍動感もあり、快活な気分にしてくれる仕上がり

C KWVクラシック・コレクション シュナン・ブラン(白)
南アフリカ アルコール度13%
淡い麦わら色が美しい、シュナン・ブラン100%の南アらしさ溢れるセミ・ドライ。カリンやメロンを連想させる甘い香りと、ライムを想わせる爽やかでソフトな酸味。豊かな果実味が全体をやさしく包み込む

D ラ キュベミティーク ブラン2021 マルサンヌ主体(白)
フランス アルコール度13%
ドライながら繊細な花と多種のフルーツの香りが溢れる南仏・ラングドック産。熟した白い果実や、クリームブリュレ、ローストしたヘーゼルナッツなどのニュアンスも。シルキーな口当たりと程よいボリューム感のバランスが心地好い

“老舗の豆菓子”はオールマイティ!チーズ系菓子よりもワインに合う?


F 今回のテーマは豆菓子ですが、柿の種やアソートのように、ほかの菓子もミックスされている商品も、全体としてマリアージュを試みていきたいと思います。また、ナッツも「豆カテゴリー」として、今回のラインアップに含めています。マリアージュ選定委員会として揃えたワインは、発泡も含め、産地やぶどう品種、味わいの異なる白ワイン4本と、比較しやすいバリエーションにしています。まだ、ワインと組み合わせることが少ない豆菓子ですが、試していただいた印象からお聞きしたいと思います。

Y 全体としてNGはなく、むしろ“絶妙な組み合わせ”がいくつかありました。まず、とても素晴らしかったのが04「でん六豆」とA「パスクアPLAI トゥールビヨン」のマリアージュで、糖衣とワインの甘さが同調すると同時に、豆のしょっぱさがコントラストとなって味わいが立体的になり、非常においしかったです。また、豆のサクサクした軽い食感と白ワインの口切れ感がマッチし、特に04はオールマイティで、どの組み合わせも心地好かったです。また、B「ロシュ・マゼ シャルドネ」やC「KWVクラシック・コレクション シュナン・ブラン」とアソートの09「味ごのみファミリー」を合わせると、菓子のアイテムごとに新しい発見があり、D「ラ キュベミティーク ブラン」と02「つまみ種」や05「ポリッピーアソート」の組み合わせも、菓子とワインのボリューム感が合っていて、バランスがよかったです。ほかには、Cと03「柿の種わさび」のマリアージュも印象的でした。ワインの酸味が口の中に広がったあとで、それを追うようにわさびのフレーバーが刺激となって感じられるので、この“時間差”がちょっと不思議な感覚でしたが、心地好い組み合わせでした。総じて、今回のマリアージュを実施して感じたことは、意外とチーズ系のお菓子よりも豆菓子がワインに合うことです。特に04はどのワインとも好相性で、さすが“老舗の豆菓子”がロングセラーである理由が理解できました。また、07「いかピーナ」も、すべてのワインと相性がよく、安心感があるマリアージュになりました。

K 今回のマリアージュは、豆菓子に感じられる塩っぽさや豆のコク、そして糖衣も含めた甘さの余韻とワインとのバランスがポイントだと感じました。結果としてはYさんと同様、私も全体的にNGはありませんでした。今回はすべて白ワインでしたが、04に関してはAとDが特にフィットし、B、Cも相性のよさを感じました。また、07は今回初めて体験した組み合わせでしたが、珍味としての味わいよりも、サクサクした食感と、あとから広がってくる甘みとの相性がよく、どの白ワインともマリアージュを楽しむことができて、予想外のおいしさでした。さらに、今回の中では最も素材感がダイレクトに感じられる10「miinoそら豆しお味」も、すべてのワインと心地好く味わいが重なりました。

F 私もみなさんと一緒で、最も心地好かったマリアージュは04とA。それから、06「三幸の柿の種梅ざらめ」とAの組み合わせ。04と06の両者は、ともにAの“爽やかな甘さ”とシンクロする感覚があり、特に06の梅味とざらめの甘さが混じり合った“甘酸っぱさ”が絶妙にマッチしました。ほかには、ナッツがやや重めの印象で、豆がサクサクした食感も含めて軽い感じだったので、ナッツ系はBの樽香やDのボリューム感とバランスがよく、08「グリーン豆」のように軽い食感には、Aの発泡によるキレのよさが好印象でした。

Y ナッツを軸に考えると、01「亀田の柿の種」や03、09などに入っているナッツ特有のオイリーな感じには、シュナン・ブラン種のCも合いますね。

F 今回のラインアップでは、Cが最も酸が立っているワインなので、口の中に広がったナッツの脂分を洗い流す効果があり、口切れ感がいちばんハッキリ感じられますね。

若い人や女子への訴求に工夫が必要?パッケージや名前変更でイメージ刷新


Y 豆菓子とワインを楽しむシチュエーションとしては、やはりシンプルに立ち飲みのバルなどが無理がないですし、ほかにはお昼時のテラスなど、フランクに会話できるシーンに合うと思います。ワイワイお喋りできる場所が合いそうですね。

K バルなどで提供するときは、洒落たデザインのお皿に盛り付けるといった、“ちょっとした工夫”をすることで、豆菓子に対する先入観が取り払われ、イメージも変わるかもしれません。

F それから、お菓子というよりも「小腹満たし」の食事的な感覚で楽しむのもあるのではないかと思います。あまり空腹感が強くない夜に、食事ではなく、ワインを飲みながら豆菓子でお腹を落ち着けて、そのまま寝てしまっても楽しいと思いました。

Y 豆菓子は売場に並んだときに地味な印象で、40代以上の人たちが購入層の中心といったイメージが強いのですが、04を筆頭にワインと合う商品が多く、今回、個人的には“大発見”の連続でした。そういう意味ではイメージも大切なので、商品をもう少し女子受けするパッケージデザインや色使いにしたら、今より若い層の人たちも手に取ってくれると思いますし、そういった提案の工夫をしていけば、ワインと一緒に楽しむ人が増えそうな気がします

F 確かにパッケージデザインも含め、比較的高い世代をターゲットにしている印象が強いので、発想を少し変えて、ポップなネーミングやパッケージでアピールしたら、20代などの若い層にも響くかもしれませんね。

K パッケージを変えることで、かなりイメージが変化するので、提案の仕方を変えてみる方法はありますね。ワイン好きの人の間では、きっと豆菓子との組み合わせはポピュラーではないと思うので、気づかせてあげたいです。

F 「気づかせ」という意味では、提案の仕方を工夫すれば、外国人旅行者にアピールすることもできそうですね。海外ではナッツの印象は強いけど、豆菓子の印象は弱いですから。

K インバウンドを対象に考えた場合、外国人が多く来る場所で提供して、ワインとのペアリングを楽しんでもらう方法がありそうですね。それで外国人にもおいしいと感じてもらえれば、お土産として買ってもらって、海外でも評価してもらえるようになりますので、例えば空港の出発ゲートをくぐった先で目にするカフェやスタンドバーなどでサーブするというアイデアもありますね。そういう提案を積極的にしていきたいです。

Y できれば、海外の航空会社の日本発着便で、プレッツェルの代わりに豆菓子を提供してもらえると、機内ではワインの提供もあるので、マリアージュしてもらえる機会が増えそうですね。また、同時に機内販売もしてもらえたら、帰国前に残っている小銭で購入してもらえるかもしれません。

F 今回も認識を新たにするような“発見”があり、次回以降もますます楽しみになってきました。